KGI・KPI・KSFとは?ドラクエから学ぶロジックツリー構築

KGI・KPI・KSFは、デジタルマーケティングにおける目標管理になくてはならないものです。しかし実際の現場では、これまでの慣習の中で定められたKPIを追いかけることに終始してしまい、ロジックツリーとしてKGIに向けた管理ができている企業は少ないのではないでしょうか。

ここでは、とある講座の受講生(アプレンティス)と実際にあったやり取りから、KGI・KPI・KSFとは何か?を「ドラクエを通じて」わかりやすく説明いたします。


ウェブ解析士マスター講座では、与えられた事業目標を達成するための解析レポートの作成を課されます。市場分析や競合比較などの様々な解析を通して、KGIの達成に向けたKPIの選定とロジックツリーの構築を行うわけですが、受講生とこんなやり取りになりました。

いきなり何故こんな話に…?とお思いかもしれません。なぜドラクエの話になったかと言うと、そもそもKGIに対して、

  • 目的
  • 目標
  • 課題
  • 施策

など様々なものの整理が、そもそもできていなかったようでした。

それに対し、まず下記のツイートを例に、目的と目標の違いから説明をしたのがきっかけです。

目的とは目指す最終ゴール。企業で言えば、売上ではなく「企業理念の達成」です。そして目標は、その時の何らかの中間ゴールとなります。これがKGIです。それを「KSFを通じて分解したもの」のがKPIとなります。

企業理念と与えられたKGI、そしてKPIに分解するためのKSFの関係性について上記ツイートから説明したところ、先程の質問となったわけです。

というわけで、ドラクエを通してKGI・KPI・KSFを説明しましょう

KGI・KPI・KSFとは?

ここでもう一度、KGI・KPI・KSFの意味からやり直します。

とある売上目標が与えられたとします。これは、企業理念の達成の証として、本年度に目標とした中間ゴールです。そして通常、これを達成するために様々な行動を取ります。しかし、やみくもに行動しても時間も労力も限りある資源ですので、できる限り効率よく達成しようと考えます。

この場合、

  • KGI (Key Goal Indicator):「重要目標達成指標」のことで、達成すべき目標。ここで言う「売上目標」
  • KPI (Key Performance Indicator):「重要業績評価指標」のことで、目標達成に必要なプロセス、ここで言う様々な行動を量や率で示したもの。
  • KSF (Key Success Factor):「重要成功要因」のことで、KGI達成を成功させるための要因。この場合では、「できる限り効率よく (無駄に戦わずに済む) = 基本戦略」となり、その戦略を持って戦術 (行動) が決まるため、各KPIの項目と目安が決まってきます。

となります。

では、ここからは先程のツイートの流れから、ドラクエに当てはめていきましょう。

KGIとは目標である。

ここはもう間違いないことで、勇者にとっての目的は世界平和です。その為に魔王討伐という目標を掲げます。なので、KGIは魔王討伐になります。

仮にハーゴンやバラモスを討伐したところで、世界は平和になりません。それらの後にはシドーやゾーマが現れます。これは、KGIが次のボスへと変遷していってる事を表します。その時その時で、KGIは変わります。KGIは、あくまで中間ゴールです。

AD

KPIとKSFの関係性について

一旦改めて繰り返します。

  • KPI (Key Performance Indicator):「重要業績評価指標」のことで、目標達成に必要なプロセス、ここで言う様々な行動を量や率で示したもの。
  • KSF (Key Success Factor):「重要成功要因」のことで、KGI達成を成功させるための要因。

そしてKGIとKPIの関係性を示すために、「ロジックツリー」が使われます。

KPIのひとつひとつが達成されれば、KGIが達成されるという図式です。非常に論理的かつ問題発見もしやすい為、経営やマーケティングの世界では、定常的に利用されています。

ただし冒頭で述べたとおり、KPIが事業上の営業プロセスなどの慣習で分解されていることが多組み受けられます。しかし本来であれば「自分達が市場で勝てる要因 = KSF」で分解してあげる方が、強みを活かした行動ができます。KPIを達成するための行動が他社と差別化が取れるため、KGI達成のプロセスが有利に働くということです。

話が本筋にずれてきたので、ドラクエに戻します。

魔王を倒すというKGIに対して、何らかのKPIを策定する場合、そこには「どうすれば魔王を倒せるのか?」を考える必要があります。

仮に勇者が1人で立ち上がり、勇者1人で倒そうとするのであれば、討伐すべき魔王の攻撃に全て耐えられ、魔王のHPを0まで削れる能力があれば済みます。竜王はそれでも十分でした。仮にこのIの場合のKSFを「魔王より強い勇者を育成する」だったとしましょう。

しかしII以降、LvをMAXまであげても一人では達成不可能なのが、ドラクエの世界です。

  • 魔王よりも高いアクション回数
  • 魔王の防御力を上回る攻撃力
  • 魔王の攻撃から身を護る防御力
  • すり減った体力を補う回復力
  • 上記を遂行するためのMP

をIと同じようなKSFで分解しても、基本的に実現性は低くリスクが高いという話です。

その為、別なKSFを探します。さらなる分析を続けると、同じ志と様々な能力を持った者たちがいることが分かりました。ここで勇者は気づきます。「チームワークを持ってすれば、魔王を超えられるのではないか?」と。

この「チームワーク力を活かした戦闘能力の確保」をKSFとすると、KPIとして

  • 攻撃力の確保 = 各メンバーの攻撃力の総量
  • 回復力の確保 = 回復量×必要MP量×回復回数+回復量×草の数
  • 戦闘補助スキルの補助 = 総回数×MP
  • 代替メンバーの確保

などに分解でき、それぞれのKPIが達成しやすくなります。そしてこのKPIの達成のために、様々な職業スキルを持った仲間の確保と育成するわけです。

また、KPIの分解についてですが、仮に攻撃力であれば

  • 武器による攻撃力向上
  • Lvによる攻撃力の向上

と言ったふうに分解され、その目標値をどう配分するかはプレイヤー次第という事で、正解は1つではないということになります。結果としてそれぞれのKPI目標値が達成され、魔王討伐というKGIが達成されればよいのです。

そして、もし魔王討伐後にラスボスが現れたとしても(前述のKGI変遷)、きちんと分析からKSFが導かれていれば、同じように討伐に向けたKPIを設定していけばよいだけです。KSFは、時代や環境、KGIの変遷とともに変革を余儀なくされます。

間違ったKSFについて考える

正解がない以上、間違いというのも正確にはないわけですが、「実現可能性」を判断することはできます。

先程の「チームワーク」についてですが、もしここで「賢そうな仲間をいっぱい集めればかてるのでは?」といった判断をKSFにしてしまうと、KPIが

  • 悟りの書+僧侶(もしくは魔法使い)
  • 遊び人の数×転職率

のようになってしまいます。これで勝てるかと言うと、遊び人はMPが低いので結果には使えません。魔王討伐までは無理ゲーとなる可能性が高くなります。

なぜドラクエ3に限定して話してるかは不明なので、単なる例としてとらえてください。

また、「バラモスのバシルーラに耐えられる、捨てゴマ体制と圧倒的勇者」をKSFとしてしまうと、

  • 圧倒的勇者のステータス
  • バシルーラを受けるまでに何らか役に立つメンバー3人のスキルとパラメータ

のようなKPIになってしまい、結果として偶然でも勝利すれば、アリアハンの王から「バスタードソード」がもらえますが、それは本当に必要だったのでしょうか?

なぜドラクエ3に限定して話してるかは不明なので、単なる例としてとらえてください。

要は、「実現可能性」からKSFをちゃんと導いて、KPIに落とし無事が重要という話になります。


KSFとは「勝利要因」であり「成功要因」です。その要因を数量化して分解することでKPIは初めて意味をもちます。このあたりを理解しないと、遊び人から賢者になったみたいなWebディレクターが横行し、KGIの達成は程遠いといったプロジェクトを多く見てきました。

KSFの解釈にはいくつかの論説が見受けられますが、「KGIは、実現可能なKSFを通じてKPIで分解する」事が重要であることは変わらないでしょう。一度、自分が担当するビジネスのKPIを、KSFを通じて見直してみてください。