「スモールマス」とデジタル時代のターゲティング戦略

スモールマス戦略・解析
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近年、「スモールマス」というターゲティング戦略が注目されています。消費財メーカーによるマーケティング手法として取り上げられていますが、これまでのターゲティング戦略とはどのような点で違いがあるのでしょうか?

スモールマスとは?

インターネットの普及と消費者行動の多様化に伴い、これまでのマスメディアによる画一的な情報発信では、購買やブランディングにつなげることが困難となっています。

これに対しスモールマスは、「マスよりも小さいが、一定以上の市場規模を持つセグメント」の事を言います。スモールマスは、多様化した市場において数多く生まれているとされており、そのセグメントへのコアなニーズに特化した商品開発やプロモーションによって、ブランディングやロイヤルティを高めながら、マス市場への拡がりへとつなげていきます。

スモールマスは、株式会社花王で専務を務めていた吉田勝彦氏による造語です。花王では近年「スモールマス」を各メディアで提唱しており、各企業が注目し始めたのが注目のきっかけとなっています。

商品のコモディティ化や低価格戦略が進む中、プロモーションとブランディングの関係性がより重要視される昨今、スモールマスによって購買とロイヤルティの双方で効力を発揮することが、スモールマスを築く最大のメリットです。

これまでのターゲティング戦略との違い

経営学者であるフィリップ・コトラーが提唱したマーケティング戦略の1つに「STP」があります。

  • セグメンテーション(Segmentation)
    市場を顧客のニーズごとにグルーピングする。
  • ターゲティング(Targeting)
    競合の状況も鑑みながら、事業を展開するセグメントを選定する。
  • ポジショニング(Positioning)
    ターゲットが得られる価値を明確にする。

の頭文字を取ったこの戦略は、マーケティングにおいて最も代表的な戦略の1つでもあります。

STPにおいても、セグメントの市場規模は検討すべき事項の1つであり、マスマーケティングと大量消費の時代から提唱されるSTPとスモールマスは、本質的には同じものとも言えます。

ただし、STPにおける「ニーズ(満たしたい欲求と)」と「ウォンツ(叶える選択肢)」と比べると、スモースマスはより消費者のニーズを深堀りして供する傾向があります。また、当時のメディアのあり方と比較しても、SNSなどのデジタルメディアによるターゲィング性に加え、ファン層による拡散とそのスピードといった、情報流通のあり方に特徴が見られます。

ニッチ戦略やブルーオーシャン戦略との違い

特定の市場をセグメントする、という観点では、「ニッチ戦略」や「ブルーオーシャン戦略」もスモールマスと同様の戦略にも思えます。

しかしながら、ニッチ戦略やブルーオーシャン戦略は市場や事業の付加価値などを軸に「戦わずに勝てる市場を見つける」戦略であるのに対し、スモースマスはあくまで「セグメントしたターゲットのニーズに応える」事を軸とした、ユーザー視点の戦略であるところに違いがあります。

【スモールマス事例】花王「めぐりズム」

蒸気で温めることでリラックス効果が期待できる「めぐりズム」ですが、現在はアイマスクだけでなくラインナップを増やしています。

上記では、その商品展開に対し、どのよにニーズを掘り下げていくか?について解説されています。

スモールマスの課題

スモールマスは、「一定規模の市場を持つこと」さらに「市場全体への拡散が期待されること」が重要です。現在、スモールマスの中でも「一人ひとりに対応する」ような動きを見せるものもあります。ただしそれには、サプライチェーン自体に影響を及ぼすものもあるため、事業全体を通じてどのような体制が必要か?を見直す必要もあります。


マーケティングの世界では、常に新しい用語が生まれています。スモールマスもあくまでターゲティング戦略と本質的には変わらないと見てしまうこともできるでしょう。

しかし、用語の変化の裏には、時代背景の影響が色濃くあることも忘れてはいけません。マスマーケティングを実施する立場になくても、例えばYoutuberがマスメディアに登場することが珍しくなくなった昨今、デジタル起点でのスモールマスは、まだまだニーズを掘り起こす可能性にあふれています。

デジタルマーケティングを活用することが必須である現在、スモールマスを意識した取り組みは、今後さらに重要度を増すと思われます。

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