なぜ僕らは働くのか

【書評】なぜ僕らは働くのか

  • 2021年2月3日
  • 2021年2月3日
  • 書評

どこで働くかより、誰と働くか?」そう言われ始めて久しい昨今ですが、皆さんは、働き方をどのように定義づけているでしょうか?

WEBPLAでは、「マーケティングとキャリア」をテーマに情報発信を行っていますが、今回はこの本を通じて、「働くことを言語化できると、マーケティングが分かりやすくなる」ことについてお話したいと思っています。

中高生をターゲットとした「はたらく」を考える本

TVでも人気を博すジャーナリスト・池上彰氏による「なぜ僕らは働くのか」は、非常に多くの関係者・協力者とともに作られています。構成自体、本文と併せて非常に多くのイラストが用いられ、また表紙にも描かれている少年のストーリーは、漫画として馴染みやすく展開されています。

加えて、様々な職業の方や小中学生の声もあらゆる場面に散りばめられており、これまで「はたらくこと」を意識した人であれば、自分が主人公のように感情移入しながら読み進められる構成となっています。

現在、過労死やワークライフバランス、働き方改革と言ったワードが席巻し、コロナ禍において強制的に働くことへの価値観の変化が求められています。「仕事とは何か」「どのように働くのか」「どうやって仕事を見つけるのか」といった悩みや課題は、数年前と比べ物にならないくらい、難しく変化しているとも言えるでしょう。このような問題に、前述のような様々な方々の情報から、丁寧に答えています。

働くことを考えるのは、市場と自分の価値を考えること

本書の構成が非常に面白くもシンプルであるため、その内容について深く触れることは避けるとして、冒頭の「働くことを言語化できると、マーケティングが分かりやすくなる」こといついて考えてみましょう。

WEBPLAでは、マーケティングとは「売買を通じて、売り手と買い手、社会に貢献することを目指す」こととしています。

マーケティングは、自分だけが「これが得意だ」と思っても誰にも届きませんし、売買には繋がりません。どのような市場に対し、自分が他社と比べて何が勝っているか?を明確にすることで取引が成立し、それが社会的に持続可能な価値であることが重要です。

本書においても、仕事は誰かの役に立つことであり、そのために非常に多くの人が社会と仕事でつながっているとあります。その中で自分とは何か、自分には何ができるのかを考えるのは、まさにマーケティングと言えるでしょう。

キャリアとマーケティングのフレームワークは親和性がある

本書においては取り上げられていませんが、上記のような背景がある方こそ、キャリア論の中で使われるフレームワークは、マーケティングにも活用できます。その一つに「ジョハリの窓」があります。

人は自分だけで自分の価値に気付けるわけではありません。様々な人の意見や味方を通して、自分の価値に気づく事があります。それはマーケティングでも一緒です。ソーシャルリスニングやアンケートを通じて、新たな価値を創造することができます。

マーケティングは、多くの人との関わりで行われます。家族とも言うべき社員と、決められた予算の中でやりくりする力も必要です。そのための各人のライフステージも関係してきます。マーケティングとは、見方を変えれば働くこと自体と共通点が多いことに気づきます。

とかくマーケティングの本は、理論と難しい論調に振り回されがちです。そのような難解な書籍に比べたら、本書は非常に分かりやすく優秀なマーケティング本と言えるでしょう。


今後、マーケティングはより消費者の生活や利用者の体験そのものに入り込む必要があります。より主体的にマーケティングを考えるための頭の体操に、本書を活用してみてはいかがでしょうか?