緊急事態宣言が発令されて以来、自宅内での仕事や生活が余儀なくされる中、テレビを含む動画視聴量が増加傾向にあります。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/07685/
視聴時間帯の変化にも、人々の動きや変化を感じ取ることができますが、テレビ以外の動画視聴サービスへの関心度はどれくらい高まっているのでしょうか?
日本国内の主要サービスの検索数推移を、Google トレンドで調べてみました。
調査対象サービス
動画配信サービス | 開始日 | 会員数 |
---|---|---|
Netflix | 2015年9月1日 | 約300万人 ※1 |
Hulu | 2011年8月31日 | 202万人 ※2 |
Amazonプライム・ビデオ | 2015年9月 | 509万人 ※3 |
ABEMA | 2016年4月11日 | 有料会員 67.6万人 ※4 |
※1:2019年9月6日 同社記者説明会にて発表。 ※2:2019年3月時点 Wikipediaより。 ※3:2019年2月 ニールセンデジタル調べ。 ※4:2020年度第2四半期 (1月〜3月) 決算資料より。
2015年9月のNetflixやAmazonプライブ・ビデオの日本上陸を機に海外ドラマや国内オリジナルドラマのコアファン層を中心に利用されてきた動画配信サービスすが、Huluはそれよりも数年先駆けて展開をしていました。当時はあまり話題にならなかったHuluも、2014年の日本テレビが買収したことで、その後展開が大きく変化しています。
ABEMAは、2016年の開局から4年を迎え、「AbemaTV」から名称変更してさらに動画配信事業に注力する模様です。有料会員数は67.6万人ですが、WAUでは1,253万人とAmazonプライブ・ビデオに迫る視聴数を伸ばしています。※テレビなどの週次配信のサービスでは、DAUよりもWAUをKPIとする傾向があります。
ちなみに、これらのサービスとYoutubeの検索トレンドを比べてしまうと雲泥の差となってしまうため、あくまで「現在の状況下でどのサービスが利用意向が高まっているか?」を調べていきます。
動画配信サービス4社の検索数トレンド
過去12ヶ月の推移を調べてみました。ABEMAは4月以降、検索数が減少傾向にありますが、各社とも3月以降の検索数は伸びている模様です。
得にNetflexは1年前でも他社よりも高い検索数を誇っていますが、この緊急自体宣言が発令された前後でさらに検索数が増加しています。それに追随するのがHulu、Amazonプライブ・ビデオといった形です。
Amazonプライブ・ビデオは会員数に比べて検索数が少ない印象もありますが、あくまでWebでの検索であることを考えると、一定数の新規会員数を伸ばしているのでは?という予想もできます。
ちなみにこの1年のトレンドで見ると、他に気になる急増トレンドが2つあります。1つはHuluのみのトレンドですが、もう1つは年末年始休暇需要が各社に影響しているようです。長期休暇や自宅にこもりがちな時期と動画の視聴数は相関関係がありそうです。
地域別トレンド
地域ごとの特徴はそれほどないのでは?と思っていたのですが、Netflixで検索するユーザーは、東京等の主要都市に比べて沖縄県が9pt高め。またHuluで検索するユーザーは青森県や愛媛県などが高めとの傾向が出ました。
地域傾向が出やすい有線サービスではないものの、動画配信サービスにも利用意向は地域色が多少あるようです。
共起キーワード
最後に、各サービス名とよく検索されているキーワードを見ていきましょう。ここに各社の傾向と併せて、Huluの急増トレンドを予測することができます。
Netflix
Hulu
Amazonプライブ・ビデオ
ABEMA
「関連キーワード」は、「注目」と「人気」でフィルタリングができます。「注目」は、検索回数が急増したキーワード、「人気」は、検索総数が大きいキーワードとなります。
「人気」で絞り込んだ場合、各社とも「映画」や「ドラマ」「無料」などの漠然となにかを探す傾向が見られます。Huluでは、「解約」といったサービス関連のキーワードも検索数も高いようです。
次に「注目」で絞り込んだ場合を見てみましょう。会員数が多いAmazonプライブ・ビデオ以外は、各社とも番組名が浮上してきます。このことから、緊急事態宣言に関わらず、動画配信サービスは「その番組が見たい」ために検索し、利用される傾向が高いことが分かります。
ちなみに、Huluで見られた昨年9月の検索急増トレンドですが、注目キーワードの「あな 番」(田中圭主演の話題ドラマ「あなたの番です」)を含めて見てみると
ちょうど同時期に急増トレンドとなっていることから、あな番需要でHuluの検索数が上がっていることが分かります。
もしコンテンツ単位での視聴が絶対的な動機となる場合であれば、番組終了後に「解約」で検索するユーザーが増えるのも不思議ではありません。
このように、動画配信サービスの需要は様々な活動が制限される状況で伸びること、動画自身が持つコンテンツ力に支えられていることが、改めて検索トレンドでも分かりました。一方、長期的な利用を促すには、コンテンツと併せて「そのサービスならではのロイヤルティ」が必要となってくるとも言えます。
prime会員によるAmazonプライム・ビデオ利用はその1つでしょう。各社、どのようにロイヤルティを上げていくか?に注目したいところです。