【書評】プロフェッショナルマーケター マーケティング最先鋭の言葉

プロフェッショナルマーケター書評
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ウェブ解析士認定試験が公開されてから今日まで、公式テキストの監修を務めていただいている早稲田大学の守口剛教授が、2019年末に一冊の書籍を発売されました。「プロフェッショナルマーケター マーケティング最先鋭の言葉」と第された本著は、表紙から錚々たるプロマーケターの名前が並んでいます。

それだけで既にこの本の読み応えを想像するに難しくないと思い、半ばジャケ買いのように購入し拝読。果たして、その行動は間違いではなかったどころか、ここ数年で最も「マーケティングに携わる面白さ」を再確認できたほどの一冊でして。

体系化すべきは「型」ではなく、行動力の「言語化」

資格のテキスト執筆に限らず自身で企業向けに講座開発を行なう際、本来であれば受講者が何らかの「行動」をとれるような知識を提供したいものです。しかし現実には「受講者に向けた最適な『』を提供しようとしてしまう」ことがあります。

型には、3C分析などのビジネスフレームワーク以外にも5W1Hなどの思考的フレームワークも含まれます。誰もが知っているものほど、他者との会話の中で齟齬なく伝えられることができるのが最大のメリットです。しかし、それを学んで分かった気になっても、翌日からそのフレームワークどおりに物事を考え、実行できることは少ないのが現状です。なぜなら、ほとんどの現場が「応用」で成り立っているからに他なりません。

逆に言えば、フレームワークを教えて「教えた気になっているだけ」では、どんなビジネスも動かないし、学ぶ価値も少ないと感じることが多いので、教える側として「これで良いのか?」と悩むことが多々あります。

もちろん、ちょっとしたデータの見方をを通じて行動を促すことはできます。これから解析を学ぼうとする方には、それなりの価値は与えられるかもしれません。でもそれは、「マーケティングの面白さ」を継続して感じてもらう要素にはならない。

自分は、「楽しんでコミュニケーションしながら自社市場をつくる」ことがマーケティングだと思っているので、そう思える人を増やせないのであれば、自分が存在する価値はないとも思っています。

この本には、そういった「型」に囚われたマーケティングの話は一切ありません。全てがプロマーケターによる「行動」の言語化でした。

様々なワードの裏にある「行動力」

ネスレ日本における「P/L(損益計算書)」による行動管理は、経営指標まで追うことで市場定義と戦略策定が機能することを意味します。マーケター自らが「その立場にない」と思ってしまえば、自分のマーケターとしての価値は、そこで終わってしまうでしょう。

カルビーにおける「SDGs」は、ステークホルダーに向けて自分を正当化するための表現手法ではありません。売り手だけでなく買い手にも誠実であることで、本当の自分たちの消費員に責任を持ち、価値を提供できるようになります。

データ活用」に関しては、分析力や正確性よりも、実はその先の行動と成果を仮説立てできる「創造力」や「仮説検証力」の方が重要であり、データを量でなく質で感じ取れる感性も必要となります。

他にもたくさんの生の言葉が、この一冊には溢れています。このような「行動力」とそれを促す事ができる「言葉」こそが、本当に必要な「教育」だと強く感じました。

守口先生によるプロマーケターの行動に対する考察

プロマーケターの言葉によって構成される第一部と併せて、第二部では著者の守口先生による「プロの行動」に対する考察がなされています。

彼らに共通する「顧客志向」は、単なるユーザー視点のことではなく、顧客自体が気づいていない潜在的な意識に対する洞察と企業視点の徹底した排除とも言えます。それについて、彼らの言葉をしっかりと読み解いてまとめあげた考察は、非常に分かりやすい文章で伝えられており、マーケティングに携わる方だけでなく、全関係者にも伝えたい内容となっていました。

経営者からこれからマーケティングに関わる方まで、全員におすすめしたい一冊です。


自分がマーケティングの体系化に携わりはじめて、そろそろ10年近くが経とうとしています。その中での違和感や課題感は、この「行動力の言語化」によって、解消できるのではないかと思えました。

そしてできればそれは、海外からの輸入品を言語化するのではなく、身近な日本企業の取り組みを言語化する事こそが、今後のマーケティングには最適ではないかと考えています。

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